始動Next Innovator 第4回目WS
おはようございます、TA竹内です。
始動プロジェクトも折り返し地点を迎え、後1ヶ月でシリコンバレー派遣生が決まります。直近のメンタリングでは、実現可能性、競争力の観点から私が元々考えていた案は「絵に描いた餅」でしかないというニュアンスの指摘を受け、目下アプローチを見直し中です。これまでの準備に投入したリソースはサンクコストとして割り切ってゼロベースで事業案を見直すべきなような気もしましたが、会社を巻き込むことで基本的なコンセプトは変えずに事業を開発することができそうなので、今は会社を巻き込む方向で事業を修正中です。
それはさておき、土曜日は第4回目の講座として博報堂ケトルCEO嶋浩一郎先生の「起業家のための情報戦略集中講座」に参加してきました。今、自分の所属する部署が広報部のすぐ近くで、広報部の雰囲気はよく伝わって来る一方で、何をやっているかちゃんとは理解できていませんでしたが、嶋さんの講座のおかげで広報がいかに経営戦略上重要かよくわかりったのはすごく良かったです。また、昨日はピッチ、メンタリングのあと、始動カフェでは経産省の新規産業室の石井様からベンチャー周りの政策の全体像や政府の裏話っぽいことを色々レクチャーして頂きました。ピッチは撃沈しましたが、石井様からは貴重なお話を聞くことができ、あと1ヶ月エンジンを再始動する気合が入ったのは良かったです。
講義・始動カフェのKey Takeaway(というかメモ)は以下のとおり。
情報環境は大事
- メディアの追い風がある中で事業するのとそうでない環境で事業をするのはとてつもない差がある
- 第三者のリコメンドが効く時代
- 企業の一人称のアピールよりも第三者のメディアの影響が大きい。よりよく見える
- PRは情報環境をマネージ(差配)する仕事。コントロールするわけではない。コントロールはできない
- マネージする=追い風になるようにいかに巻き込んでもっていくか。いかに第三者を巻き込み、自分にとって有利な環境を構築するかということ
PRとは社会やコミュニティで合意形成を作る仕事
- Public Relation(広報)と広告は違う
- PRは自分で自分を直接アピールすることではなくて、第三者に自分のことをアピールしてもらう。マスメディアを使うこと
- PRの本質的なスキルは第三者を巻き込むこと。Owned Mediaは少し違う
- 大いなる誤解→パブリシティをやるのがPRパーソンでしょ(必要なスキルではあるが、それがメインではない)
- メインは社会やコミュニティで合意形成を作る仕事
- これまでの常識に対して、新しい概念(考え方、文化、価値など)を打ち立てること。その結果として、認知の獲得(awareness)→意識の変化(Perception change)→行動の変化(Behavior change)を起こす仕事がPR。この価値いいね!を作る仕事
- PRは手段を選ばない→目標は合意形成なので、それができればなんでもOK!
- ロビイングもあり(政治家、官僚を巻き込む作戦)
- 国際会議を開催するのもあり
- 学会の設立・アカデミアを巻き込む→食品業界でよく行われている(医者のお墨付きという)
- メディアを巻き込む
- 広告もその手段の一つでしかない
- 日本のメディアの構造(全国の人がキー局(5社)にアクセスできる)から広告が効果的だった
- マスメディアがあること自体が日本の特殊な環境→宣伝費にお金を投資してそれに見合う効果があった(企業がcontrolable)が、いまはUncontrollableな領域(個人がブログに勝手に情報を発信することなど)に踏み込む必要がある
PRはメディアの世界観を理解しなければならない
- メディアは最も重要(政治家よりも、アカデミアよりも、インフルエンサーよりも)
- ジャーナリストは投資家と全くことなる。つまり、事業が魅力的でもジャーナリストが一生懸命人の話を聞くことは保証されない
- なぜなら媒体にはそれぞれ人格があるから。つまり、あなたの話に全く興味を示さない人もいる
- PRは媒体の世界観を拝借する仕事 。拝借するためには、メディアの持つ世界観を理解する→これを読み取るスキルがくそ大事(例えばOggiとVeryで世界観が違うし、読者層も違う)←例えば、前者は独身イケイケ20代後半〜30代前半、後者は子持ち主婦20代後半〜30代など
- BRUTUS編集長西田善太さんの名言
- 雑誌はネット検索と異なり「始まり」と「終わり」がある。だから、独自の世界観を作ることができる
- 編集力・情報を選択する視点に価値がある→この価値の源泉をレリバンシー/Relevancy(「この情報は私のため」という気持ちにさせる力)
- 独自の世界観・文脈が付加価値である
Relevancyをお借りするためにInnovatorに必要なもの
- メディア文脈で語ること
- 逆算思考すること
- メディア時間で考えること
「メディア文脈で語る」とは「メディアの世界観・文脈の中に自分の商品やサービスを登場させること」
- 「プレスリリースに書いてあることを読まれても意味がない」by 西田善太編集長
- 商品主語ではなく、媒体主語で話せる訓練が必要→媒体の文脈の中に自分の商品を登場させる(例えば Veryの場合、主婦が困っていることを解決するアプリがあります!とか)
- なぜその媒体にこの情報が必要なのかを説明する→そのためには、媒体の世界観を知り尽くさなければならない
- 情報の加工力が肝。例えば、
- 夕刊フジの場合:新橋角ハイ名店図鑑
- UOMOの場合:シングルモルトで作るハイボール
- 日経ビジネスの場合:ウイスキーの生産量
- Moreの場合:井川遥になる!
- 広告は点、PRは多面体。相手(媒体)に合わせて自分の担当商品の都合の良い部分をアピールする
- 商品のスペックを掲載するより、あるものが流行っているという現象の中で商品やサービスが登場した方が嬉しい。あるトレンドを牽引する力のある商品・サービスに見せる。そのためにメディアの文脈を理解する必要がある
- コーヒーを例とした場合、新しいコーヒーのスペックそのものを紹介するよりは、セブンv.s.ファミマのコーヒー戦争の新たな伏兵として取り上げた方が注目される
「逆算思考」とは「メディア視点で想定記事を書くこと」
- 想定記事をまずはじめに書く。これがくそ大事。 なぜなら、書こうとすると必要な情報がどんどん見えてくる
- 新聞記者は原稿を書くお作法やルールを守っている(ギルト的な環境で訓練されている)
- 記者は何を根拠にヒット商品と認識して記事を書くのか、過去に100本以上のヒット記事から帰納的に抽出したことがある。抽出した4つのポイントは、以下のとおり
- 統計 数字をいうのが大事。大小ではなくて、まずはあれば良い
- 背景 どういう背景で事業をやるのか
- 因果 なぜ顧客がそれを使うか
- 余波 その商品のおかげで世の中にどういう影響があったか→新聞は特にこれが好き!
- さらに以下の二つがあると尚更よし
- 「不」の要因 昔はできなくて、今できたって話があれば尚良し
- 人物 エピソードがあれば尚良し
- これだけの情報を揃えると記者、メディアは喜んで記事を書きたくなる
「メディア時間で考える」とは「情報発信のタイミングを考えること」
- 芸能人の離婚の発表が一番多いのは12/31。なぜかというと、1/1の紙面にはスペースがない、12/31には原稿作って印刷する人が少ないから
- 嶋先生が考える芸能人の記者会見のゴールデンタイム→木曜午前11時
- 翌日読まれる、スポーツ新聞に掲載される
- ENG(Electronic News Gathering)は編集が必要で、11時に会見すれば、午後2時くらいにはオンエア可能(その後、17時、23時にも報道される)
- 土曜・日曜の番組プロデューサーやディレクターのメンタリティに訴えかけることができる→土曜・日曜の番組は一週間分のまとめをやる。直近の情報の方が頭に残りやすい
メディアが取材したいビジネスパーソン
- メディア視点で見てPR・IRが上手だと思う会社(NewsPicks佐々木編集長談) →ユーグレナ、クラウドワークス
- メディアが取材したいビジネスパーソンに必要な力は大きく6つ
- リーダー力
- 話が面白い
- どんなテーマのインタビューにでも答えてくれる
- 自分たちのビジネスの話しかできない人はダメ
- オンラインメディアでは特に属人性=面白い人が重要
- 事業のわかりやすさ
- 商品力・ビジネスモデル力
- 社会テーマとのマッチング(AERAの元編集長談)
- グローバル雇用→KUBOTA
- 働き方→Yahoo!Japan
- 女性活躍→資生堂
- 物語性(起承転結とか属人的なストーリー。例えば、気仙沼ニッティング)
- メディア毎の文脈最適化が必要。例えば、
- NewsPicks 儲かる事業を取り上げたい 商品力=儲かるもの
- AERA 社会課題を解決する・社会課題に切り込みたい 商品力=社会課題を解決するもの
- 日経ビジネス ロジック・数字・ファクトが重要 商品力=強い戦略
- リーダー力
藤井大輔様(R25元編集長)の経験談
- インタビューを受ける側のリスクはヘッジしないとあかん
- レピュテーションリスク
- 会社を守らなければならない
- メディアにウケる美味しい言葉を用意する必要があるが、事業に与えるリスクをヘッジしたものでなければならない。R25の場合は、新聞を刺激しない言葉選びをしていた
- 勢いがかげっている時(R25の場合はモバイルメディアの撤退、Yahooとの事業統合等)には関係者からのクレームがきつい
- 誰にどこまで言うかかなり重要。ウケることを言うだけではダメ。
- メディアに載るのは基本いいこと、だけど、メディアはいじわる(いきなり手のひらを変えることがある)。だから発言はかなり気をつけた方が良い。
- メディアから問われるテーマは基本3つ
- マーケティング、マネジメント、キャリアアップ
- マーケティングでは、新規事業を立ち上げた背景、ヒットした理由、その裏側などを話していた。インタビューに答える中で、「R25で日経新聞を読んだふりができる」というポジションニングが明確化した
- マネジメントでは、所属する会社の特徴的な習慣や方法を紹介していた。自分の場合は、無記名でネタを投票する会議のやり方を紹介した
- キャリアップでは、R25創刊までの自分のキャリアの経験、ターニングポイントを紹介した
- メディアにどんどん露出する人と事業者の線引きが必要。必ずしも自分がメディアに露出する必要はない。メディア適性は必要。自分は事業家に徹してPRは広報に任せるのは全然あり
- メディアに消費される怖さがあっても安定するよりは危機感を常に持った方がいい。この観点からすると乗れる波には乗った方がいい。ベンチャーであればあるほどそう
社会記号の研究
- 社会記号の例:コギャル、ちょいワルおやじ、えびちゃんOL、ギャルママ、横丁女子、弁当女子、お一人様、草食系男子、シロガネーゼなどなど
- 社会記号は文化と市場を作る
- 言語化による変化→やっている本人はスター化する→フォロワーが発生する→社会の寛容化→報道化
- メディアは絶えず新しい言葉を探している。熱しやすい。流行る時には爆発的に流行る。
- 社会記号は商品を牽引する
- 社会記号として取り上げられて流行るためには、記号だけではなく、中身が伴っていないとダメ。事例が必要
- 「ファストファッション」という言葉の裏側にはユニクロやH&Mの勃興がないとダメ
- 社会記号は寡占化する
- 90代に流行った言葉「ニアウォーター」→この社会記号とともに取り上げれた商品は「桃の天然水」。実際には他にも類似商品が大量にあったがこれがメインとして取り上げられた
- 市場シェアと情報シェアは異なる
- なぜか?
- 面倒臭いから!記者はある記号に対する代表選手を決めたがる。ひとつの社会記号に対する事例として取り上げられる席はせいぜい2、3個
- どうやって社会記号と自分の商品をくっつけるか?
- PRパーソンが多面体の切り口の情報を発信した(多面体情報提供力)
- 記事を書くために必要な情報を提供することができる企業が、関連する社会記号を代表する会社として選んでもらうことができる
- 他のサービスを語れるとなおよし(自分の商品・業態だけではなく、他の商品・他の業種も含める
- 社会記号は「(キャッチ)コピーではない」
- 企業が作ったコピーはメディアは使わない。社会記号はメディアが発見するもの。メディアが発見するように仕向けることができればそれは優秀なPRパーソン
- メディアは臆病なので複数の現象が登場した時に初めて社会記号を発見する
→学生時代に建築学生としてカルスタはかじっていて、その頃からこの手の話は好きだったので、中にいる人から貴重な話を聞くことができてよかったです。ここでの学びを自分の事業案の展開に生かすのが次のステップですが、そもそも事業案をもっと練らないとあかんので、まずはそっちからですね。
始動カフェ・経産省石井様のお話
ベンチャー支援に関する政策の全体像や各種具体例、始動Next Innovatorの裏話など貴重な話を聞くことができましたが、特に印象が残っているメッセージはこれ(自分に都合のいいメッセージしか強い印象に残ってないやろ、お前っていうツッコミは承知です)
- 始動Next Innovatorは安倍総理の肝いりのプロジェクト。自信を持て。誇りを持て。で、何を期待しているかっていうと、情熱持って周りを巻き込んで行動することだからね
- とにかく行動してね!
- 同期のつながりは大事よ!
- 政府は応援してます!
(首相肝いりとか言われるとまじでブルッときますよね)
以上です。
ちなみに昨日はプレゼンも失敗したし、前回のメンタリング以降事業転換を図ろうと思いつつ、そもそも中途半端な転換のままプレゼン資料を作ったってこともあって、反省点だらけで気分は(´・ω・`(´・ω・`(´・ω・`)ジェットストリームショボーンです。
会社のリソースを使う大作戦に変更したものの、違う班のメンターの先生からは、それはそれで会社の枠組みでもの考えているからまじつまんねーなお前、とか言われたし…言い方はこんなきつくないですけどね。
とにかく周りのレベルが高すぎて、ちょーポジティブに捉えるといい刺激を受けていますが、基本的には自分の案がしょーもないうんこに見えて悲しいです。とはいうものの、政府の予算でトレーニングしてもらっているわけで、何かしら成長した結果を出さなければ本当お前死ねになってしまうので、残り1ヶ月は(こっそり)本業よりこっちに力を入れて事業案を練り切ろうかと思います。
おしまい。