唯一わかっていたのは自分がわかっていなかったんだということ〜第二企業課題を振り返る
第二企業課題とは?
第二企業課題は、技術を基盤とするベンチャー企業の現場の課題に受講生が取り組むことで、技術をビジネスに結びつけることを学んでもらうという目的のもと行われます。
受講生は第一企業課題で身につけたチームワークを武器に、課題企業の持つ技術を理解し、その技術の社会における価値を模索しながら課題に取り組みます。
今年の課題は医療分野で北米進出を目指すO社からの出題で、「O社がさらなる投資を受けるために何が必要か考えて発表せよ」というものでした。医療という独特な業界、しかも海外でのビジネスを展開する企業がどうやってさらなる投資を受けられるか、という課題に対して受講生はどう取り組んだのでしょうか。
未知への挑戦:
「何を明らかにすればいいのかわからない」
課題の内容を聞いた受講生からは、「自分で考えるだけでは限界があるのは理解できるが、誰に話を聞いてどういう情報を集めればいいのかわからない」という声が上がりました。それでも受講生たちは必死に課題にくらいつきます。第一企業課題の期間を通してお互いのことがわかってきたため、メンバーがやりやすいミーティングや調査のやり方を確立し始め、言い換えればチームに色がつき始めた状態です。
また過去の課題から「とにかく行動してみること」の大事さは共通認識として持っている受講生ですが、それぞれのチームの動き方に差が見えはじめたのも元々は他人だった受講生がチームとして成長している何よりのあかしでしょう。
今の自分だけではとても飛び越えられない壁をチームでどうにかこうにかよじ登る、そんな体験をして欲しい
この課題の難しいところは、海外の医療分野、そして投資と普段の学生の生活に馴染みのない分野の基礎知識を得て、それを元に議論しなければならないところにあると考えています。
見たこともない課題に取り組むにあたって、まずは情報を集めたり医療や投資に詳しい人の話を聞いて情報を得るのはもちろんです。しかし、得た情報をチームとして活かすためには情報そのものだけでなく、投資や医療、海外の法規制といった背景から情報がどういった価値を持つのかまでをチーム内で共有しなければ実りのある話し合いはもちろん、説得力のある提案ができません。一人ひとりでは医療から投資まで全ての分野をカバーすることは難しいですが、チームで情報を集め、情報の価値や意味付けを問うことで初めて課題を進められる、そんな体験が出来たのではないかと考えています。
最後は結果が全て
〜プレゼンの価値は「見る人」が決める〜
そうしてついにO社から西川社長ら3名の審査員を迎えての最終発表会の時がやってきました。チーム解散や再編成を経て3チームがこの発表に臨み、それぞれ全く違った切り口から、「O社がさらなる投資を受けるために何が必要か」を熱くプレゼンをしました。
私見ですが、この発表会をやる前からあるチームの優勝は確実だろうと予想していました。そのチームの集めた情報量とそこから得た考察、そして何より熱意で他チームを圧倒していました。
しかし、結果が出てみると優勝したのは別のチームでした。先ほどの「あるチーム」に明らかな不測のトラブルなどもありません。各チーム全力を出し切った結果です。審査員の間でも意見が分かれ優勝チームの決定が難航したこともまた事実。しかし、残酷だろうと結果は真摯に受け止めなければいけません。
受講生は、あくまで自分たちの評価は出した成果物で決定され、その過程の努力は評価されないこと、また成果物の価値はそれを見た人によってのみ決定されるという厳しい現実を突きつけられました。そしてそれはこれから迎える最終発表会においても変わりません。
この経験を経て受講生が8月9日の最終発表会でどういった成果を挙げてくれるのか大変楽しみなところです。