「お金を稼ぐことは悪いことじゃない」と思わせる講座

TAIA

TAIA講座とは何か、何のために行うのか

TAIA(Translate an Idea into Action) 講座とは、たった2週間でビジネスアイデアを実際に試し、小さくてもいいから行動した結果を出すというプログラムです。アイデアを形にする場合、モノづくりやサービス提供、イベントの開催など様々なパターンがあります。

この講座を行った背景として、以下の点を実際に行動して検証して欲しいという想いが運営側にありました。

  • とにかく積極的に行動し、どんどん仮説→検証を繰り返す
  • 自分の考えたビジネスアイデアで本当に稼げるのか試す
  • ニーズはあるのか、ターゲットはどこか検証する

このような点は事業を成立させるのに欠かせない要素であり、この課題を解決するという位置づけで今回のプログラムを実行しました。

受講生に何を学んで欲しいのか

受講生の多くは「稼ぐ」という観点が欠けており、「世の中の困り事を解決したい」、「稼げなくても社会に貢献できればいい」といった考えを持ってNPO的なビジネスアイデアに取り組みがちです(これは日本人全般の傾向でもあります)。しかし、起業し持続可能なビジネスを成り立たせるためには、適正な利益を出すという視点が必要不可欠です。

そこで、自分のアイデアで稼ぐ喜びや難しさを学んでほしいという狙いがありました。しかし、2週間では大きく稼ぐ仕組みを構築することが難しく、稼ぐことを意識させるまで到達できない可能性があります。どうすれば稼ぐ意識を持ってもらえるかを考えたところ、短期間でいかに積極的に行動しなければならないか、時間の感覚がいかに重要かを学んでもらうことを最優先にすることで意識の変革を起こせるのではないかという結論に達しました。そのため、実際の行動時間を評価軸に組み込むプログラムを作成しました。

どういった位置づけの講座なのか(第一企業課題と第二企業課題の間にある意味)

 例年、第一企業課題ではほとんどのチームが課題に対して十分な成果を出すことができず、もう少し計画性を持って行動すべきだったという反省をします。そして第二企業課題ではしっかり計画性を持って最終発表のプレゼンに挑もうと考えます。そこで反省を活かすチャンスを第二企業課題の前に短期間で与え、第二企業課題の質を高めようという狙いがありました。このTAIA講座はそのような位置づけで考えられています。

 実際の結果はどうだったのか

  受講生の取り組みを評価する基準として、行動時間(100h以上で満点)・稼いだ額(3万以上で満点)・将来性という3つの軸を設定し順位をつけました。当初は稼いだ額が3万円を越える人は出ないであろうと予想していましたが、実際には2チームが3万円以上稼ぎ、トップチームはなんと7万円以上稼いでくるという運営側も予想できなかった素晴らしい結果となりました。

  講座を始める前は、1) 案が全く出ず何もできない人や、2) 案はあるけど行動できない人がでるだろうから、運営側のフォロー体制が重要になってくるだろうと考えていました。しかし、蓋を開けてみると多くの受講生が積極的にプランに対してアクションを実行しており、毎日成果をあげている姿が見られ、第一企業課題よりも数段成長した姿が見られました。 とても同一人物とは思えない成長ぶりをみせた受講生も何名かいます。

よくできたところはどこか、できなかったところはどこか

とはいってもやはり、上記の1)、2)で困っている受講生はいました。その人たちにしっかりとサポートを行えなかったことは反省点であると感じています。もっと全体の動きを把握し、すぐにサポートに入れる気配りが重要だったと思います。

 受講生が取り組んだビジネスアイデアに関しては、将来性のありそうなものが出てこなかったということが残念でした。2週間というタイムスケジュールが原因であるとは思うのですが、身近なものの物販やイベント開催といった単発的な取り組みがほとんどであり、今後事業として発展するようなアイデアに取り組むチームはありませんでした。

ただ必ずしも身近なアイデアが悪いわけではなく、実際に利益を上げたことは素晴らしいことです。しかし、講座としては最終事業案を意識した内容で取り組んでもらえればと考えていたため、将来性のあるプランにどうすれば取り組んでもらえるのかが今後の課題であると言えます。

一方で、本講座の狙いである「積極的に行動する」という観点では、満足な結果を得ることができたと感じています。チームのやりたいことを優先するのではなく、個人のアイデアを実現する方向で動いていたところが良かったのかもしれません。

また、「自分のアイデアで稼ぐ喜びや苦しみ」も十分に味わってもらえたと思います。講座後に受講生から、

  • 今後もこの取り組みを続けていきたい、続ける
  • 人からお金をもらうことは難しいと実感した

といった声がありました。この感覚を持って最終事業案に取り組むことができるのは大きなアドバンテージになると考えます。その点からもこの新しい試みは成功だったと言えるでしょう。