始動Next Innovator 第3回目WS
こんばんは、TA竹内です。
今週末は始動のプログラムで一番楽しみにしていたIDEOさん主催のワークショップ「0から1を創り出すデザイン思考」に参加してきました。
創立者Tom Kelleyさんの「発想する会社(The Art of Innovation)」を去年久々に読んで、学生時代のエスキスを思い出しながら、フィールドワークやデザインワークショップみたいなのを久々にやってみたいなーと思っていたので、まさにど真ん中のワークショップでした。
学生時代に建築やってた時もいつも思ってましたが、面白いコンセプトを考えるのって難しい。
あの頃は、だから、その建築が存在する意義を考えるのはほどほどに、スタディ模型を作りまくって、カタチの微妙な差異からカッコイイものを探すことに力を注いでました。当時は宮台真司の女子高生文化論、三浦展の郊外論、東浩紀のオタク文化論が割とホットだったので、一応そこで論じられる文化的課題やトレンドをなんとか建築のあり方に結びつけよーとしてましたけどね。例えば、家族のつながりが希薄化した結果、郊外で援交・ブルセラが流行ってたから、家族を結束させるために個室のない住宅を作ってそーゆーの減らそうぜ、とかそんな感じです。
(敬称略なのはお名前を記号として使用しているからです)
それはさておき、今回のワークショップの構成はこんな感じでした。
- IDEOさんの説明(IDEOってどんな会社?)
- デザイン思考の説明(デザイン思考ってなんぞや?)
- Lets try designing for Fukuoka! (実際やってみよう!)
- 始動カフェ→これがまたご登壇者のエッジが効いてて最高に面白かったです
IDEOってどんな会社?
- スタッフまじ多様
- シェフ、医者、建築、製造、編集者、記者などなんでもあり
- 88歳で入社したエキスパートのおばあちゃんもいる
- クライアントまじ多様
- 銀行、保険、ショピングモール、美容、スポーツ、コンピュータ、メーカーなど
- サービス、プロダクトもまじ多様 → ありきたりな表現になっちゃいますがDesign x ANYを活性化させるプログラムプロバイダーって感じですかね
- プロダクト、サービス、体験、空間、投票体験、移動、UI、学びなどなど
- 業種や職種を超えた横のつながりがデザインするとき、innovationを起こすときにはIDEOを必要としてくれるクライアントがいる
- IDEOの組織内は相互に助け合うのが当たり前。HBSに面白い記事があります。ポイントを抜粋するとこんな感じ。これってかなり重要!
- Contrary to common wisdom and even to much of the scholarly literature on helping in organizations, status is no barrier to being asked for help at IDEO. Low-level people are willing to approach those at the top—who, conversely, are not afraid to make themselves vulnerable by asking for help from people several levels down.
- At IDEO there is no shame in asking for help, and this psychological safety shows up on many levels: For example, people cheerfully accept frequent all-office e-mail blasts along the lines of “Does anyone have experience with Spanish-language radio?” or “Who’s tried the new quick-loss diet?”
- In the office we studied, nearly every person was named as a helper by at least one other person. Even more amazing, an overwhelming majority of employees (about 89%) showed up on at least one other employee’s list of top five helpers. Clearly, effective helping isn’t a rare skill. Most people at IDEO learn to do it as they become steeped in the culture of the organization, participate in its regular activities, and develop networks within the firm.
- クライアントからみたら、IDEOはアルペンルートを進む時ではなくて、オフロードを進む時に役に立つ → 頂上はなんとなく見えているけど、実際行くところ(落としどころ)や行き方(進め方)がわからないときに超使える
- 1から100は日本人が得意なKAIZENでいける。だけど、0から1はKAIZENでは厳しい。Innovation、Bigなleapが必要
デザイン思考ってなんぞや?
- 人間中心のイノベーション
- クライアントは、領域的にはBusiness (viable)、Technical(feasible)で、プロダクトやサービスなどのリソースありきな相談をよくしてくる。が、課題解決のポイントはその前にある領域People (designable)で、クライアントはそこを考えるのが苦手
- IDEOは人間中心に考える、そこにdesign thinkingがある。→顧客に対する問いかけ、どう共感してもらうかが重要で、そこが一番難しいし、ここでつまづく会社が多い、らしい
- どうやって顧客に価値を届けるかって意味では戦略論そのもの
- デザイン思考のプロセスはこんな感じ
- Design Research & Inspiration → N=10とか20で十分。その代わり徹底的に深く見る → ここがくそ重要でInspirationを得るためにデザインリサーチをやる
- Synthesis & Strategy → 事象を解釈したり、意味付けしたり、見方を育てる(日本の企業が苦手なポイント)
- Brainstorming & Concept Development → コンセプト(アイディア)を創造する
- Prototyping & Storytelling → お客様に伝わる物語を考える
- で、これを3ヶ月程度で回すとのこと
- ロジカルシンキングは連続的な活動で選択肢を絞り込む作業。デイザンシンキングは不連続な活動で発散と収束を繰り返す感じ → 言われてもよくわからんからやってみよってことで今回は2日でデザイン思考のプロセスを回してみました
- IDEOTokyoの共同代表のMikeはdesign researchの事例を紹介する中ですごく印象的なことを言ってました
- they don’t always do what they say they do
- they don’t always do what you think they do
- they don’t always do what they think they do
- they don’t know what they are doing
- どゆことかってゆーと、女性向けのbeauty careの新しいproductの開発プロジェクトで、まずはextremeケースを研究しようってことで、(典型的な←ジョークね)アメリカ人男性(トラックの運転手)に自宅でインタビューをしたそうです。彼の座っているソファーの横にはフットケア器具(beauty care product)があって、「奥さんの?」って聞いたところ、「俺の」って返答されたそうです。つまり、確かにそれはビューティケア製品なんだけど、長時間トラックを運転して足が疲れる彼からしたら、足の疲れをほぐす製品でしかないっちゅーことです
- 結果、課題設定が「女性向けのビューティケア製品の創造」から「自分の体をケアする製品の創造」に変わったとのこと → 自分の案で私も何人かにヒアリングしたけど、自分のサービスありきで考えていたから聞いた内容を自分の都合のいいように解釈してたけど、それって実際は何を意味していたのかってのをもう一度見直してみる必要がありそうだってことに今気づきました!
Lets try designing for Fukuoka!
- IDEOが通常3ヶ月かけてやることをとりあえず全てなぞってみようってことで、下記テーマでワークショップを実施
- どうすれば福岡で 「◯◯」のためにイノベーディブな事業(サービス/製品)をつくれるだろうか → ◯◯は、シニア、女性、子供、観光客、地元企業で、各チーム取り組む対象が異なります。
- 昨日はDesign Research & Inspirationの一環でフィールドワークと知見の共有をやりましたが、フィールドワークをやるときのポイントは3つ
- Look (Observation) → Activities, Interactions, User, Environment, Objectsを観察する
- Ask → 〜の時どうだったか?、5 Whys、Show me、Naive questions(素人のふりをして質問する)
- Try → 自分で試して見る
- 今日はフィールドワークから得た知見を踏まえて、「問いの設定」(Synthesis & Strategyの一環?)、「ブレスト」「コンセプトディベロップメント」(そのまんま)、「プロトタイプ」「ストーリーテリング」(そのまんま)のための45秒動画の作成ってのをやりました。
- 「問いの設定」のコツ、そしてそれをどのレベルで設定するかっていうさじ加減はこんな感じ
- 重要なキーワードは、「HOW」「MIGHT」「WE」、略して HMW
- その心は、問いを設定する際には、「どーすべき」や「できるかできないか」を議論することではなくて、「どーやればできるか」って観点で議論をするのが大事。例えば、
- How Might We create a new musical band for the future? → これだと広すぎ
- How Might We create a new musical band that has 48 girls, and the lineup constantly changes? → 狭すぎ
- How Might We create a new musical experience that better empowers its fans? → これくらいがちょうどいい、らしい。
- ワークショップの最後のprototype & Storytellingのパートでは、「45分で45秒の動画を作ってね」って言われましたが、そんなん無理やーんと思いつつ、どのチームも何かをアウトプットしている所は、始動のメンバーみんなすごいなーと思いました
- ちなみに今日各チームが作った動画はinstagramに下記タグを入力すれば見ることができます(一部はFacebookで再生したので後ほどUploadされるはず)
- #sidoseniors
- #sidowomen
- #sidochildren
- #sidotourists
- #sidolocal
- うちのチームは、「問いの設定」までは適度に発散と収束を繰り返してひとつの問いを立てることができましたが(「福岡の満足度の高いシニア同士が周りの人ともっと関わるためにはどうしたら良いか?」)、concept developmentとprototype作成(「岩田屋和菓子サロン←シニアが集まってワイワイやる感じの場を提供する」)で手こずったように思います。私自身は、前者は時間を気にしすぎたこと(その結果、後半の発言頻度が低下)、後者は勝手に動画の期待値を高くしてしまったせいで取り組みに前向きなれなかったことのように思います → 後者はかなーり反省しなあかんことだと思いました。制約がないことなんかないわけで、やっていることは本来すごい楽しいことのはずなんで、もっと楽しんで積極的にやる。そういう時こそアイディアを出すチャンスやと思う。実際どのチームもいろいろ工夫してたしね。野々村さん(IDEO)が最後にHAVE FUNゆーてましたが、本当にそうだと思います。
始動カフェ
Fukuoka D.C.の石丸さんの話も面白かったのですが、KyuluxのCFO水口さん(VC歴30年のベテラン)の失敗談が強烈、かなり刺激的だったので、かつ、それをまとめるのは難しいので、発言だけ共有しよーと思います。
- 日本ではなく、世界のニッチと勝負する
- 大企業が注目する前にやる
- 品質は世界最高を目指すべき
- 社長がくそ働いてなんでもかんでもやると人が育たない。チームが劣化する
- 技術は大事、でも商売せなあかん
- 1995〜2000年のシリコンバレーのワクワク感は半端なかった。ボロボロのTシャツとジーパンを履いてたジェリー・ヤン(Yahoo!)が5年で5000億の資産を作った
- 失敗するベンチャーは本気度が足りない。まじで本気でやれ!本気度が全て
- 外国市場は闇市みたいなもん。アジアは完全に闇市。 考えてること違う、嘘つき、約束守られない 全員詐欺師みたいなもん
- でも日本はどんどん出てかなあかん。アジアで勝負してかなあかん
- リスクとお金の前には友情はない。Kyuluxの資金調達でありとあらゆる友人に出資をお願いしたけど、全員に裏切られた
- 300回以上の会議で資金調達額ゼロ
- グローバルカンパニーが出した瞬間、みんな手の平を返してきた。結果、シリーズAで15億円集まった
- イノベーターのマインドセット
- 地球儀的視野(Global Way of Thinking)→2Dでなくて3Dでみよ
- スピード(Speed)
- 勇気(Courage)と忍耐(Patience)→30年言い続けてる
- 精神的回復力(Resilience )と やり抜く力(Grit) →弱ってても誰も助けてくれない。本気になって自分でやるしかない。本気度が全て。
おまけ:この二日間で出てきた色んなコンセプトの事例はこちら(メモに残っているもの):
- Bank Of Americaの新口座開設喚起(Keep the Change)お釣りを貯めよう!
- F1のピッチでタイヤ交換作業 → 救急医療現場の部屋
- ドライバーは何十人もいる中、一人しかみない。発車して良しのサインだけ。ただそれだけをする人がいる
- 治療を受けている患者も医者や看護師の動きを全て見る必要はない。誰か一人、何をやっているか説明してくれ、状況を確認してくれる人がいればよい
- イギリスのLanguage Exchange 英国老人と留学生の言語交換
- Be My Eyes 目が見えない方のためのサービス スマホアプリで誰かに代わりに見てもらう
- Florence 女性のための育児代行サービス(日本)
- Smartband Toy 子供向けのおもちゃ リストバンドで色々音がなる
- VRを活用して事前に観光体験 カンタス空港 多分ファーストクラス向け
- Remoto Control Tourist 自分の代わりに観光してくれるキャンペーン
- aribnb 民泊。 世代間の需要が異なる 認識が全く異なる 完全に趣味にしているシニアもいる
- フードトラック@サンフランシスコ
- vayable 旅のカスタムメイドサービス
- FAAVO cloud funding 地域 x クラウドファンディング(日本)
- Uber Eats Uber x Restaurantチャリとレストレンのマッチング ロジスティクスのデータが肝
- Sandwich Video Startupのプロモーションビデオ作成 審美眼がポイント
- Onlycoin クレジットカードやデビットカードをひとつにまとめる魔法のカード
- Sesame スマートロック アントレ渡辺さんのアケルンと同じですね
- ビザスク スポットコンサル(日本)
- Task Rabbit お手伝いのマーケットプレイス
- little bits 知育電子ブロック 回路学習
- Project Blocks 手に触れることのできるプログラミングプラットフォーム
- Kitchen Hike 地元料理の共有しまーす(日本)
- walkonomics 健康に良くない通勤経路じゃなくて、緑豊かな通勤経路を紹介 美しくて安全な道を
今週も面白かった!
誤字脱字不適切な表現があったらそのうちなおしまーす笑
ほなまたね。