「できる人」と一緒に仕事するのをオススメしない、3つの理由
この講座を受講したいという学生や社会人で、面談の時によく耳にするのが、「自分よりすごい人や、仕事のできる人たちに囲まれて成長したい」という決意表明です。
今まで見ていて感じたことは、残念ながらこういうことを考えて受講する人は成長しません。主な理由は以下の通りだと思っています。
・できる人たちが仕事を奪ってしまう
・自分は仕事ができると誤解してしまう
・できる人を探す機会がなくなってしまう
詳細について、順番に説明していきましょう。
・できる人たちが仕事を奪ってしまう
チームでプロジェクトを進めていくと、できる人は自分の与えられたタスクをさっさとこなしていきます。そして他の仕事や新しい提案などをどんどん進めていき、他の人が背負っているタスクややった方がいい業務などを(もちろん好意的に)奪ってこなしていきます。できない人や自分と同じくらいの人たちで進めているプロジェクトと比較すると、自分の作業量が減ってしまい成長機会そのものが少なくなってしまいます。
・自分は仕事ができると誤解してしまう
上記に関連しますが、できる人が集まったプロジェクトはとてもスムーズに効率よく進みます。それはとても心地のいい経験だと思いますが、できる人たちのおかげであって決して自分の功績ではありません。自分ができるからプロジェクトが進んでいくのだと誤解することになります。
・できる人を探す機会がなくなってしまう
「できる」ポイントは人によって全く異なります。実務をこなすことが得意な人もいれば、クリエイティブなところで本領を発揮する人もいます。できる人が同じプロジェクトにいると、自分とタイプが合致しているかわからないのにベンチマークとして設定してしまい、結果的に自分が苦手なポイントで努力してもがいたあげく、うまくいかなかったことに打ちのめされることがあります。
以上の理由から、「自分よりすごい人や仕事のできる人たちに囲まれて」も、実はあまり成長しないのではないかという懸念をわかっていただけたかと思います。
ではどうすればいいのでしょう?
それには、思い込みを捨てる、謙虚さ、縦の比較がポイントとなります。
・思い込みを捨てる
別にすごい人が周りにいなくても人は成長できます。また、プロジェクトの規模や与えられた予算が小さいからと言って悲観する必要はありません。むしろ小規模のプロジェクトの方が一人あたりのタスク比重が高くなるので成長機会は増えますし、予算や注目が少ないプロジェクトの方が余計なプレッシャーや責任がないので新しい方法を試したり予想もしなかったアイデアが生まれる可能性が高くなります。
・謙虚であれ
どんな人でも、どんなプロジェクトであっても学ぶポイントは存在します。すごい人やできる人をまねるよりは、自分と同じような人たちの「このやり方って自分でも取り入れられるかも」というポイントを探した方が結果的にうまくいく可能性が高くなります。「自分にはまだまだ学ばなければいけないところが山ほどある」という謙虚な気持ちで常にアンテナを立てておき、相手やプロジェクトに関係なく貪欲に探していくのが効果的です。
・縦の比較でレビューする
これもよく言われていることですが、他人と自分という横の比較ではなく、昔の自分と今の自分という縦の(時系列ベースの)比較を行うことをオススメします。すごい人やできる人との比較はあまりオススメしませんが(もちろん優れているポイントを盗むことはとても効果的ですが)、もし比較したい場合にはその人全体ではなく、なるべく特定のポイントでベンチマークした方が自己嫌悪などにならずにすみます。
…こうやって書き出してみるとあらためて気がつくのは、自分の心の持ちようで楽しくもつらくも変わってしまうということですね。この講座は3ヶ月間にわたり毎週水曜日に自分たちの考えた事業案を発表しますが、講師やTAからいろいろツッコミがあります。それを成長の場と思って楽しめるか、恥ずかしくて逃げ出したくなるかは自分次第です。がんばってくださいね。
(文責:社会人TA4年目 高澤)