Fintech その5
あっという間に前回投稿してから一ヶ月以上が経過してしまいました。
仕事(これが一番忙しい…当たり前なんですが)、アントレ、個人活動に力を注いでいて、ブログを書く時間がなかなかとれないのですが、今日は久々にCFAのセミナーに行ってきて、予想以上に充実していたので、備忘録を兼ねて今日学んだことをみなさんと共有しようと思います。テーマはフィンテック(特にロボアドバイザー)。
内容ですが、最近サービスを限定的にローンチしているウェルスナビ柴山さんとトムソン・ロイター経企渡邊さんの対談。特に面白かったのはQAとその後の雑談で、かなり興味深いコメントを引き出すことが出来ました(この業界の界隈の人達には当たり前のことかも知れませんが)。
ロボアドバイザーって海外ではスタートアップだけではなく大手も参入してかなりコモディティ化が進んでいると思っています。日本でも、この1年でこの分野でサービスを開始、または準備している会社が増えてきました。例えば、スタートアップから大手まで以下のような会社が参入しています。
- ウェルスナビ
- お金のデザイン(THEO)
- エイト証券(8 Now!)
- みずほ銀行(SMART FOLIO)
- FOLIO(サービス準備中)
- IBM x Finatext(サービス準備中)
- マネックス x セゾン x バンガード(ラップの中身がロボアド?)
ってことで、てっきり日本でも海外と同じようにすぐコモディティ化するんかなーと思って、柴山さんに「顧客拡大はどーするんですか」「競合対策は具体的に何か考えていますか」的なことを質問したら、失笑されました。。。汗
どちらの質問についても返ってきた答えは、「この分野はアーリーアダプターがいる程度で、キャズム(注1)がある。まだ競合対策を突き詰めて考える段階ではない。」、「いまは仮説・検証を繰り返して、顧客の真のニーズを明らかにし、真の課題を抱えているセグメントに刺さるサービスを考える段階。」、というニュアンスのものでした。
つまり、同業他社的な会社はあるものの、「どこの会社も顧客に刺さるサービスは提供できていなくて」、従って、「サービスができていないのにも関わらず、他社のことを見ていてもしゃーなし」ってことのようです。
確かに、スティープ・ジョブズが1番最初のiPod(重くて、画面はちっちゃく、白黒のやつ)を生み出した時に、横をみながらやったかって考えると確かにやってないはずなんですよね。誰にとって、なぜそれが必要かっていう絶対的な価値観がドライバーになっていて、他社の動きをみながら相対的かつ受け身に開発していたわけでなないって理解しました。
iPodの例は、いま読んでいる野城先生のIPMモデルでいうと、「Start With Why?」か〜ら〜の課題引動型イノベーション+PDCAを回すフィードバックが回ってシリアルイノベーションを繰り返し、最後にはiPhoneになったって感じだと思います(豊益潤福レベルは最高)。
ということで少し話がそれましたが、ウェルスナビについては、ロボアドバイザーのサービスを(招待制で)開始しているものの、事業開発という意味では発展途上のようです。
あと、手数料について面白い知見があるそうで、1%の手数料は決して安くないんですが(アメリカでは0.25%、国内では0.5%〜1%。もちろん大手証券会社のファンドラップ(3〜5%)などよりは全然安いです)、これについては、彼らの調査によると、顧客がロボアドバイザーに入金するかしないかの判断基準は手数料ではなかったりと、投資家の投資行動や思考を理解した上でのプライシング戦略があるようでした。
冒頭で、ロボアドバイザーはコモディティ化すると思っていましたが、柴山さんの話を聞いて、顧客(投資家)のニーズや刺さるポイントは思っている以上に多様で、多様だからこそ、実際に課題を抱えてるセグメントをみつけることができれば(伸び代が大きければ大きいほどよし)、コモディティ化せずに独創的な事業が開発できるのかなとも思いました。
このあたりの観点は、Next Innovatorの選考が通ったら自分の事業プランに色々活かそうと思います。
あと、セミナー後のネットワーキングでは、会ったことのない弟の同僚(なかなか好青年で面白いことをやってるみたい)からいきなり声を掛けられるという珍プレーが発生しました。
おしまい。
注1. キャズム理論についてはこちらをご覧下さい。
http://dentsu-ho.com/articles/2801